
2000年の法廷映画「英雄の条件」。
その男が行ったのは虐殺か?それとも戦闘か?
戦争犯罪の濡れ衣を着せられた男の名誉を守るために、法廷で争う法廷映画。
証拠らしい証拠はなく、敗訴濃厚な状況。
だが、これを覆すために、その男の戦友は弁護のために法廷に立つ。
困難な状況でも、正しさを訴える物語です。
主演は『Boss』のCMやMIBシリーズでおなじみのトミー・リー・ジョーンズ。
それでは、ここから『英雄の条件』のあらすじ・ネタバレ・見どころ感想を紹介していきます。
映画『英雄の条件』 のあらすじネタバレ
22年間の軍隊生活に別れを告げようとしていたホッジス大佐(演:トミー・リー・ジョーンズ)
ベトナム戦争にて部下を失い、自身も重傷を負ったホッジスは別の方向で軍に貢献するために弁護士の資格を取ります。
しかし、実務経験は乏しく、法廷では負け続けるといういわば三流弁護士。
ある日、ベトナム戦争時代からの親友のチルダーズ大佐から弁護を依頼を依頼される。
チルダーズ大佐はイエメンでのアメリカ大使館救出の任務を達成したものの、その際デモを起こしていた民間人を虐殺したという罪に問われていた。
チルダーズ大佐は「虐殺ではない。民衆は銃を持っていた」として軍規を守っていることを主張するものの、
現地民は敵国意識から知らぬ存ぜぬ。
民衆の様子を映していた監視カメラの映像は失われており、チルダーズ大佐の言葉を裏付ける証拠は一つもなかった。
政府は真実を知るものの、中東での利権のため今回の悲劇をチルダーズの暴走であると罪を擦り付ける。
救出された大使でさえ、己の地位を守るために口裏を合わせられ、チルダーズ大佐の無罪を主張するものは弁護人であるホッジス大佐のみだった。
とはいえ、チルダーズ大佐の証言は、否定することも肯定することもできなかった。
デモの民衆は武装していたのか?
先に攻撃したのはどちらか?
ホッジスの弁護が始まる。
英雄の条件の見どころと感想
シナリオ的には、戦争犯罪の濡れ衣を着せられた男・チルダーズ大佐が戦友の軍人であり弁護士でもあるホッジス大佐に自らの弁護を頼み、裁判を争うというもの。
検事と弁護人の駆け引き、虐げられる正義、陰謀などが好きな人にはたまらない作品ですね。
物語の本筋とは少し離れるのですが、僕はものすごく考えさせられた話でした。
- チルダーズ大佐の気持ち
- 利権を失いたくない政府の思惑
- チルダーズに救われたがチルダーズを売るしかない大使
- 虐げられ、煽られた民衆
- 民衆を盾にしてでも思想を貫きたいテロリスト
それぞれの主張、もちろんテロリスト含めて、一定の正しさを持っているはずです。
ですがそれぞれ登場人物あるいは組織の目的全てを満たす答えが無い。
この事実に、分かり合うことの難しさを感じさせられました。
さて、この作品は様々なものが重なった結果、一人の男が犠牲に選ばれ、
そんな犠牲に選ばれた男の正義を守り、貫く物語です。
状況はチルダーズ大佐が圧倒的に不利。
ですが、この圧倒的に不利な状況がむしろ不自然・・・。
そしてチルダーズ大佐の高潔さを知るホッジスの、胸を打つような弁護の言葉はとても見応えがありました。
特にチルダーズ大佐と因縁があったベトナム戦争時代の将官とのやり取り。
当時、非道ともいえることをしたチルダーズ大佐に対して、怒りを抱く人物であるはずですが、『部下を守るため』の究極的な選択肢として、この将官はチルダーズ大佐に対して理解を示し、閉廷後、チルダーズ大佐に対して敬礼をしました。
チルダーズ大佐の心が一つ救われたシーンです。
ここは心温まるものがありました。
さて、全体を通してこの作品、良作だとは思いますが、
エンディングだけはちょっといただけません。
チルダーズをハメた人物たちについては裁かれるのですが、どうやってその不正が判明したのかなどのシーンはありませんでした。
尺の都合なのか、ぶん投げたのかわかりませんが、そういうシーンもきちんと映像として作ってほしかったんですね。
タイトル | 英雄の条件 |
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ジャンル | 戦争、法廷 |
制作国 | アメリカ |
上映時間 | 127分 |
日本公開日 | 2000年8月12日 |
監督 | ウィリアム・フリードキン |
脚本/原案 | スティーヴン・ギャガン/ジェームズ・ウェッブ |